フランス長期学生ビザ申請について(2020年9月)

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2020 年秋からの École Centrale de Lyon 留学に向けて,長期学生ビザ(VLS-TS étudiant)を取得する必要がありました. フランスのビザ取得に関する情報はネットを見ても少ないため,ここに一連の手続きをまとめておこうと思います.

※ビザに関する手続きは予告なく変更されることがあります. 申請される際は必ず自身で公式の最新情報を確認してください.

時系列

出願からビザ面接までの時系列です.

  • 04/28 出願
  • 05/01 合格
  • 08/28 Campus France での面接(Etudes en France の手続き)
  • 09/03 フランス大使館での面接(長期学生ビザの申請手続き)

合格から Campus France での面接まで何していたんだって感じですが,じつは申請するビザの種類について混乱がありました. 博士(後期)課程で留学を考えている方は,自身が申請するのが 研究者ビザ なのか 学生ビザ なのかをよく確認してください.

出願

指導教員として希望する先生と直接やり取りし,出願をおこないました. 出願に際して提出した書類は以下のとおりです(すべて英語で準備しました).

先方から提出を求められたもの

  • CV(履歴書)
  • 博士前期課程の修了証明書と成績証明書
  • 修士論文の要約(5 ページほど)

提出は求められていなかったが,必要と判断して提出したもの

  • IELTS のスコアレポート
  • 留学用の奨学金の合格通知書

以上を PDF でメールに添付して送付したところ,数日で合格のメールをいただきました.

合格決定後

他の合格先と悩み,進学を決めてからは次のことについてやりとりをしていました.

  • キャンパス内の寮への申込み
  • セキュリティ関連の認証を得るための手続き
  • 正式な合格通知書の発行と日本への郵送の依頼

しかしここで,先述したビザの種類について混乱がありました.

研究者ビザか学生ビザか?

フランスでは,博士後期課程の学生は研究機関と契約を結んで学費や給料・保険料などをカバーしてもらうのが一般的です(日本だと学振が採択率二割強で,採用されたとしても 給料 研究奨励金から授業料や保険や年金を支払わなければならないことを考えると彼我の差に嫌になりますね). そのため,留学生は先方の大学院から Convention d’accueil という研究者の受け入れ協定書を発行してもらい,研究者ビザを取得するのが一般的なようです.

しかし,なぜか私は学生ビザの枠内での留学となり,合格通知書(lettre d’acceptation provisoire )を発行してもらうことになりました. その理由を先方に何度も訪ねたのですが,明確な答えは得られませんでした(手続きが変わった,とも聞きましたが真偽不明です). 私の場合,

  • 日本から生活費・学費を支弁する奨学金を取得していくので,先方から給与などの支払いが発生しないため
  • ダブル・ディグリープログラムでの留学となるため

などが影響したことが考えられますが,はっきりとは分かりません. 学生ビザと研究者ビザでは手続が大きく異なりますし,後者の発給に必須な Convention d’accueil の発行には大学院の所在する県庁の捺印が必要なため,きわめて時間がかかります. フランスへ博士後期課程で留学される方は,自身が必要なビザの種類をしつこく確認し,必要な書類がなるべく早く発行されるよう最大限に努力してください.

Etudes en France での面接

これはフランスへ留学する際に必須となる手続きです. ただし,研究者ビザによって留学する際は不要ですぐに大使館でのビザ面接に進めます. 詳しい手順については Campus France の資料「フランスの教育機関の受入許可がすでに下りている場合:個人留学」がきわめて詳細に書かれているので,参照してください. おおまかな流れは次のとおりです.

  1. Etudes en Franceのウェブサイトでアカウントを作成する
  2. 留学先の大学やプログラムに関する情報,個人情報を入力する
  3. オンラインフォームを提出し,必要ならば修正をおこなう
  4. 手続き料金を振り込み,面接日時を予約する(東京(フランス大使館)か京都(Campus France オフィス)となります)
  5. 申請に添付した書類の原本を持参し,面接をうける

スキャンされた書類のサイズに注意!

しっかり情報を集め書類を準備できているならば詰まることはないと思いますが,一点だけ注意すべきことがあります. それは, オンラインフォームに添付できるスキャンされた書類のサイズが上限 300kB だということです 2020 年だぞ. 最近のスキャン機で高解像度のデータを作ってしまうと圧縮を試みてもどうにもならなくなる恐れがあるので(私はなりました),この申請のためだけに適切な解像度とモノクロの設定でスキャンする必要があるかもしれません. 頑張ってください.

フランス大使館での面接

Etudes en France での面接が済み,証明書類が発行されたらフランス大使館への面接に進めます. こちらの予約は好きなタイミングで取ることができ,取り消しや変更なども可能なのでなるべく早く枠を抑えておくことをおすすめします. 予約システムやその使い方は在日フランス大使館:ビザ申請予約システムから取得できます.

ビザ申請書類の作成はFrance-Visasのウェブサイトでおこないます. フォーム自体はFrance-Visas: Formsからダウンロードできるため手書きでの作成も可能ですが,オンラインでの作成のほうが簡単で楽だと思います. なお,私は一箇所(留学後の住所)を入力するのを忘れ,当日手書きで記入しましたが特に問題とはなりませんでした.

申請に必要となる書類はFrance-Visas: Do I need a visa?で調べることができます. ここに私の情報を入力し,出てきたのが以下のリストです.

  • Application form dated and signed, which must be printed and returned in original when filing the application. No scanning.

オンラインで作成したものに日付と(パスポートと同じ)署名をしたものです. 学生ビザの場合,Etudes en France の番号をフォーム左上に記入します.

  • A travel document, issued less than 10 years ago, containing at least two blank pages, with a period of validity at least 3 months longer than the date on which you intend to leave the Schengen Area or, in the case of a long stay, at least three months longer than the expiry date of the visa requested.

必要な要件を満たしているパスポートです.

  • France-Visas receipt which must be printed and returned in original when filing the application. No scanning.

大使館での面接予約を完了した際に発行される書類です.

  • ID photograph.

証明写真です. ネットで調べていると,「背景が白の縦 45mm × 横 35mm」が指定されていると書いてあるものがあります. しかし,当日大使館のオフィスの壁に貼ってあった許容される/されない写真の例には背景が青で OK となっているものもあり,どこまで厳しく見られるのかは分かりませんでした(持参する写真とは別に当日も写真を撮影されますし). ですが,なるべくならば上記の条件に合致するものが良いと思います. 私は面接当日に品川駅構内の証明写真機で準備しました. なお,これはビザ申請書に貼付するものですが別々に提出して大丈夫でした.

  • If you are not a Japanese national : valid Japanese resident card.
    日本以外の国籍の場合、有効な在留カード.
  • Most recent degree not required for applications received in Japan.
    日本で申請される方は最終学歴証明書不要.
  • Students (EEF - Etudes en France procedure) : Registration certificate generated by the EEF-Pastel application, stating the EEF ID number. Exam Students: Registration certificate downloaded the EEF-Pastel application, stating the EEF ID number.

Etudes en France での面接後に発行される書類です.

  • Proof of accommodation not required for applications received in Japan.
    住居証明は日本で申請をされる方は不要.
  • Proof of minimum monthly income of 615 Euros (not required for French goverment scholarship holders) : Certificate of scholarship or bank statement, issued less that 1 month before your application, or a sworn letter accepting financial liability from a guarantor(family member) who must provide proof of adequate, reliable and regular income, as well as a copy of their ID document. If you can prove that you will have free accommodation in France, the minimum required amount will be €308 per month.

フランスでの滞在に当たり十分な経済力があることを証明する書類です. 私は生活費と学費を支弁してくれる奨学金の合格通知書(金額と期間が明記されているもの)を提出しました.

また,申請料金については

The amount to be paid is : 99 euros (€), or about 12 375 YEN. If you are in a country with EEF procedure - The amount to be paid is 50 €.

のように太字かつ日本円での金額付きで表示されるため勘違いしてしまいますが(私はしました),実際には”EEF procedure”のため半額となります. 結局,当日は 6,250 円を請求されました. 小銭を準備していきましょう.

また,ここには明記されていませんがビザが貼付されたパスポートを受領するために赤のレターパックが必要です. さらに,上記の書類は全てコピーをとっていくことをおすすめします. 先方のオフィスでコピーをとってくれますが,準備していったほうがスムーズです.

面接の流れ

  1. 予約書類をみせて入館する
  2. 個別のブースに呼ばれる(予約時刻の 30 分前に入館したところ,早々に呼ばれました)
  3. 必要な書類を提出し,不備の修正や留学計画についての質問に回答する
  4. 顔写真を撮影する
  5. 両手の全ての指の指紋を採取する

しっかり書類を準備していけば,手続きはスムーズに進みます. 私は面接を予約した時刻には大使館を出ていました.

最後に

日本のパスポートは強力で,多くの国で観光目的などでの短期間の滞在であればビザは免除されます. それだけに長期滞在にかかるビザ申請のハードルは高く感じられますが,しっかり時間をとって準備すればエージェントの補助などを受けずとも手続きを不備なく終えることは可能です.

この資料が誰かのお役にたてば幸いです. 頑張ってください!